邦楽

あいみょんの君はロックを聴かないの歌詞やタイトルの意味考察

2017年にリリースされたあいみょんのシングル「君はロックを聴かない」。

誰もが心に持っている”青春の音”と淡い恋心を絶妙に表現した真っすぐで心地良い一曲です。

今回はあいみょんの「君はロックを聴かない」の歌詞やタイトルの意味を考察してみました。

 

あいみょんの「君はロックを聴かない」とは

  • 発売日:2017年8月2日
  • 作詞・作曲:あいみょん 編曲: 立崎優介・田中ユウスケ

 

シングルとしてはメジャー3枚目となった「君はロックを聴かない」。

アルバムとしては1stアルバム「青春のエキサイトメント」に収録されています。

いかにも夏らしい爽やかな楽曲ですが、実はリリースより1年前には完成していたそうです。

この曲のリリース1年前というと、歌詞が衝撃的として話題となったシングル「生きていたんだよな」でのメジャーデビューより前です。

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自分でも自信がある曲だったらしく、3rdシングルリリースが決まったタイミングで無理やりライブで演奏し、レーベルの方を納得させてシングル曲に決まりました。

当時、自分の最高傑作だと思っていたそうですが、セールスでいうとオリコン最高76位とそれほどふるいませんでした。

あいみょんのシングルとしては一番低い順位だったりするんですが、ラジオ曲では42局でヘビーローテーションを獲得し、多くの人の耳に触れることに。

 

まず、「君はロックを聴かない」というタイトルがとても印象的です。

90年代~2000年代初頭頃に比べると今のヒットチャートではロックバンドの楽曲はあまり見かけなくなってしまいました。

そういう意味では”ロック”という言葉が若干古い言葉のようにも思えるんですが、そのせいか今までのあいみょんファンに比べて年齢が上の人たちも聴いてくれるようになったとか。

 

ロックの黄金世代を通った大人には懐かしい響きに、ロックをあまり知らない若い世代には新しい響きに聞こえたのかもしれません。

アレンジもタイトルや曲の内容を意識したのか90年代っぽくなっている気がします。

どことなく、My Little Loverの「Hello,Again」を彷彿とさせます。

その前のシングルが「生きていたんだよな」「愛を伝えたいだとか」と尖ったイメージの曲だったのであいみょんの新たな一面が見えた感もありました。

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MVもあえて一昔前の機材を使ってノスタルジックな雰囲気が溢れる映像となっています。

動画のサイズが昔っぽい4:3になっているところもニクいです。

楽曲としても夏を感じさせるとても気持ちの良い曲で、さらにファン層を拡大することになります。

 

MVは2017年8月16日にYouTubeにアップされ、2019年3月現在で2800万回再生を超えています。

YouTubeにアップされているあいみょんのMVとしては4番目に多い再生回数となっています。

「君はロックを聴かない」全体のテーマ

あの頃の青春や今の青春、少し懐かしいようなくすぐったいような青春の音や匂い、思い出を歌った曲となっています。

歌詞は2コーラス目に登場する「僕の心臓のBPMは190になったぞ」というフレーズが最初に浮かんで、そこからストーリーを広げていったそうです。

“BPM”というのは曲のテンポを表す単位ですが、平常時の心臓のBPMは60~100くらいで、190となると結構早いです。

ちなみにBPM190はこの速さです。

走った後はこのくらいになるかもしれませんが、BPMの速さで恋する男子の心臓の高鳴りを表現しています。

この曲は女子ではなく男子が主人公になっているんですが、あいみょんのイメージでは10代~20代くらいの男子のようです。

男女は何かを共有することで心の距離が縮まったりするものですが、その年代の男子って特に自分が好きなものを好きな女子に理解してほしいという気持ちが強いように思います。

その心情を歌詞に綴ることで、人によっては今の青春、人によっては懐かしい青春をイメージできます。

「君はロックを聴かない」の歌詞の意味を考察

1コーラス目 Aメロ

少し寂しそうな君にこんな歌を聴かせよう

手を叩く合図 雑なサプライズ

僕なりの精一杯

埃まみれ ドーナツ盤にはあの日の夢が踊る

真面目に針を落とす 息を止めすぎたぜ

さあ腰を下ろしてよ

僕が寂しそうな君を元気づけてあげようとサプライズをするところから物語が始まります。

それが僕の好きなロックを聴かせてあげるということ。

ちょっと一方的な感じと”精一杯”という言葉に僕の不器用さや青さを感じます。

しかもそれは”ドーナツ盤”です。

“ドーナツ盤”というのは「アナログレコード」のことですが、今20代くらいの方には馴染みがないかもしれません。

あいみょんの好きな浜田省吾さんの歌詞の中に”ドーナツ盤”という言葉が出てたことから使うようになったそうですが、あいみょん自身も最初は意味がわかってなかったとのこと。

最近はCDすら見なくなってきていますが、あえて”ドーナツ盤”を出すことで歌詞にストーリー性が出てくるように思います。

“針を落とす”というフレーズもなんとも味わい深く、レコードプレーヤーの前にいる若い2人が姿が想像できます。

 

1コーラス目 Bメロ

フツフツと鳴り出す青春の音

乾いたメロディで踊ろうよ

針を乗せてレコードを回転させると”ブツブツ”という音が聴こえてきますが、その音と「湧き上がる」という意味の”フツフツ”をかけています。

そして、僕にとっての”青春の音”が鳴り始めます。

レコードはCDに比べるとカラッとしているような印象がありますが、それを”乾いた”と表現しているのかもしれません。

踊り出してしまいたくなるような大好きな”ロック”を君に聴かせている僕は目がキラキラしていそうですね。

 

1コーラス目 サビ

君はロックなんか聴かないと思いながら

少しでも僕に近づいてほしくて

ロックなんか聴かないと思うけれども

僕はこんな歌であんな歌で

恋を乗り越えてきた

サビで”君はロックなんか聴かない”という印象的なフレーズが登場します。

かく言う私もロックは大好きでまさしくロックと共に育ってきたんですが、この曲を初めて聴いたときはまだあいみょんのことはよく知りませんでした。

“君はロックなんか聴かないと思いながら少しでも僕に近づいてほしくて”

でもこのフレーズを聞いた途端、一気に耳を持っていかれた感じでした。

好きな女の子に自分の好きな音楽を聴かせたり、映画を見せたりということももちろんしたことがありますし、誰にでも共感できる言葉じゃないでしょうか。

男性はもちろん、女性も好きな男性がそんなことをしてくれたらと想像するとキュンとしそうな感じです。

僕が自分を支えてくれたロックについて君に熱く語っている姿がはっきりイメージできるようです。

 

2コーラス目 Aメロ

僕の心臓のBPMは190になったぞ

君は気づくのかい? なぜ今笑うんだい?

嘘みたいに泳ぐ目

先ほど紹介した”BPM190″のフレーズが登場します。

恋する僕は君の前では緊張してしまっていて、心臓の高鳴りが抑えられません。

でも男としてはそんな様子を相手に気づかれてしまうのはちょっと恥ずかしいですよね。

「今笑ったのはそれに気づいたってこと?」とちょっと慌てているような僕の様子が想像できます。

“嘘みたいに泳ぐ目”というのはそんな僕の様子を表現しているんでしょう。

または、自分の好きなロックについて語る僕の言葉にちょっと白々しく反応している君の様子ともとれるかもしれません。

 

2コーラス目 Bメロ

ダラダラと流れる青春の音

乾いたメロディは止まないぜ

そんな2人の前で僕の”青春の音”が流れ続けます。

ここでまた登場した”乾いたメロディ”ですが、なんとなくアメリカのロックバンドの曲なのかな、なんてイメージしました。

アメリカのアーティストの曲っていかにもカラッとした明るい感じのサウンドが多いですし、日本より湿度が低いので実際レコーディングした音は乾いた音になったりします。

音楽に詳しい人ほど”乾いた”という言葉から色々な想像をしてしまうかもしれません。

 

2コーラス目 サビ

君はロックなんか聴かないと思いながら

あと少し僕に近づいてほしくて

ロックなんか聴かないと思うけれども

僕はこんな歌であんな歌で

恋に焦がれてきたんだ

最後のフレーズだけ違っていますが、それ以外は1コーラス目のサビとほぼ同じ感じになっています。

“少しでも”が”あと少し”になっていることで、曲が進むにつれ2人の距離が縮まっている(と思える)ような様子が伝わってきます。

“恋に焦がれる”というのは恋しさのあまり思い悩んでしまうという意味ですが、ロックを聴いてそうなってしまうというよりは、恋焦がれているときにロックを聴いて支えられてきたというようなイメージでしょうか。

恋をしているときにラブソングを聴いてみたり、恋に破れてしまったときに別れの歌を聴いてみたり、音楽っていつも自分の心に寄り添ってくれるものだったりします。

 

3コーラス目 サビ1

君がロックなんか聴かないこと知ってるけど

恋人のように寄り添ってほしくて

ロックなんか聴かないと思うけれども

僕はこんな歌であんな歌で

また胸が痛いんだ

Cメロ的なイメージのサビです。

繰り返されるこのフレーズですが、”恋人のように寄り添ってほしくて”と僕の気持ちはどんどん深くなっていきます。

ここまでは僕と君が付き合っているのかどうかはわかりませんでしたが、この言葉でまだ2人がそこまでの関係ではないことがわかります。

もしかしたら片想いなのかもしれません。

静かに語り掛けるようなあいみょんの歌もそうですが、”胸が痛いんだ”とどこか切ない響きがあります。

 

3コーラス目 サビ2

君はロックなんか聴かないと思いながら

少しでも僕に近づいてほしくて

ロックなんか聴かないと思うけれども

僕はこんな歌であんな歌で

恋を乗り越えてきた

1コーラス目のサビと同じ歌詞が繰り返されます。

曲中で4度も繰り返されるこのフレーズですが、”君はロックなんか聴かないと思いながら少しでも僕に近づいてほしくて”という言葉がこの曲を端的に表現するもので主題になっています。

「自分が好きなものを相手にも理解して欲しい」というのは男性は特に理解できる感覚だと思います。

自分がそうした経験がある男性もいるでしょうし、自分がそうされた経験がある女性もいるでしょう。

誰でも経験がありそうな出来事を歌詞にすることで青春や淡い恋をイメージさせています。

終始僕の視点で綴られていますが、君がどういう反応をしているのか、2人がその後どうなっていくのかという想像をしてみるのも楽しいですね。

まとめ

恋をする相手に対して「自分が支えられた音楽だから聴いてほしい」というのはちょっと身勝手な気もしますが、いかにも男性的です。

その男性的な感覚をあいみょんが理解しているというのがまた面白いんですが、もしかしたら「自分がこうされたら嬉しい」ということなのかもしれません。

「ロックなんか聴かないと思うけど聴いてみて」という言葉で”青春”を表現するという感覚がなんともアーティスティックです。

個人的にはあいみょんの楽曲の中でも特に好きな一曲で、ファンの間でもこれからも長く愛されていきそうな名曲です。