邦楽

米津玄師のメトロノームの歌詞やタイトルの意味考察

2015年にリリースされた米津玄師の「メトロノーム」。

ゆったりとしたリズムとピアノの響きが印象的な”失恋”がテーマの切ない楽曲です。

今回は、米津玄師の「メトロノーム」の歌詞やタイトルの意味を考察してみました。

 

米津玄師のメトロノームとは

  • 発売日:2015年10月7日
  • 作詞・作曲:米津玄師

 

「メトロノーム」は3rdアルバム「Bremen」に収録されています。

メジャーとしては2枚目のアルバムになります。

2ndアルバム「YANKEE」には”移民”という意味もありましたが、「Bremen」は”ブレーメンの音楽隊”から取られています。

“移民”が”ブレーメンの音楽隊”へと変化・成長していくという繋がりも感じさせます。

 

ミドルテンポの曲が多く、米津さんのアルバムの中では最も”しっとり”した雰囲気がありますが、「メトロノーム」はその中でも特に心に響く一曲です。

ピアノと打ち込みのリズムがメインのバラードらしいサウンドになっていますが、メロディを大事にした控えめなアレンジで詩の世界観がしっかり伝わってきます。

しっとりしたサウンドと切ない歌詞が胸を打つファンに人気の曲です。

 

MVはアルバムのリリースと同時の2015年10月7日にYouTubeにアップされ、2019年3月現在で4400万回再生を超えています。

公開されている「Bremen」収録曲のMVの中では一番再生されているので、アルバムの中でも特に人気がある曲だと思います。

米津さんはアルバムのジャケットなど自分で手掛けていますが、「メトロノーム」のMVは自身が描いた200枚ほどの絵を使用して、ディレクションも自ら担当しています。

メトロノーム全体のテーマ

タイトルになっている”メトロノーム”ですが、一定のリズムを刻む音楽用具で、楽器の練習をする際によく使われています。

 

リズム楽器を演奏するプレイヤーは特に必須のアイテムですが、現在ではこの画像のようなメトロノームは学校の音楽室くらいでしか見かけないかもしれません。

近年ではWEB上で動くものもありますし、デジタルのメトロノームの方が主流です。

ですが、この曲にはなんとなくアナログのメトロノームの方が合う気がします。

 

「メトロノーム」を一言でいうと“失恋ソング”です。

米津さんは「どんなに歩調があう人とも必ずどこかでズレる。そんな様子をメトロノームと重ねた。」と語っています。

 

恋人同士の2人をメトロノームに例えるという表現がなんとも絶妙で、しかも音楽的なのがまた素晴らしいと感じました。

男女のすれ違いと主人公である”僕”の”あなた”への心情が綴られています。

ちなみに歌と歌の間で実際のメトロノームの音を聴くことができますよ。

メトロノームの歌詞の意味を考察

1コーラス目 Aメロ

初めから僕ら出会うと決まってたならば どうだろうな

そしたらこんな日がくることも 同じように決まっていたのかな

“こんな日”とは「別れの日」のことで、2人にはすでに別れてしまっていることがわかります。

“僕”は2人の出会いの日を思い返し、「出会いも別れも決まっていたんじゃないか」と悲観しています。

付き合う前から別れることを考えている人は少ないと思いますが、別れてしまった後だと「じゃああの出会いはなんだったんだろう、2人の恋は無駄なものだったんじゃないか」とネガティブな考えを巡らせてしまうものです。

 

1コーラス目 Bメロ

ずっと叶わない思いばかりを募らせていては

互いに傷つけ合って 責め立て合った

ただ想ってただなんて言い訳もできずに

去り行く裾さえ掴めないでいた 弱かった僕だ

2人が付き合っていた頃のことが語られています。

相手に対しての「こうしてほしい、こうあってほしい」という思いは意識的にも無意識的にも当然あるものですが、それは一方的な場合もあるので相手が必ずしもそれを受けれてくれるとは限りません。

僕はあなたに対して求め過ぎていた部分があったのかもしれません。

それが”叶わない思いばかり募らせて”という言葉で表現されています。

僕としては相手を思ってのことだったのかもしれませんが、あなたには受け入れられなかったのでしょう。

結果”傷つけ合って 責めたて合う”ことになり、別れに至ってしまいます。

でもそれは”すれ違い”であって、ちゃんと本意を伝えれば相手を引き止められたかもしれませんが、”弱い僕”はそれもできませんでした。

 

1コーラス目 サビ

今日がどんな日でも 何をしていようとも

僕はあなたを探してしまうだろう

伝えたい想いが募っていくまま

一つも減らない僕を 笑い飛ばしてほしいんだ

僕はあなたへの想いを断ち切れないでいます。

すでに別れてしまったというのに”伝えたい想い”をいまだに抱えていて、何をしていてもあなたの影を追い求めてしまっています。

それなら別れ際にでもちゃんと伝えればよかったのにと思ってしまいますが、それができなかったというところにも”僕の弱さ”が見て取れます。

“笑い飛ばしてほしい”という言葉は、そんな自分を情けないと思っている僕をイメージさせます。

僕がそれほどに別れを悔やんでいるということは、”僕”は別れたいとは思っておらず”あなた”から別れを切り出した状況が想像できますね。

 

2コーラス目 Aメロ

味気ない風景だ あなたがいないのなら どんな場所だろうと

出会う前に戻っただけなのに

どうしてだろうか 何か違うんだ

僕があなたを失った喪失感が綴られています。

“あなたがいない場所”はどこも”味気ない風景”に見えてしまっていて、大きな喪失感を感じているようです。

“出会う前に戻っただけなのに何か違う”という言葉がその心情を絶妙に表現しています。

 

2コーラス目 Bメロ

きっと僕らはふたつ並んだメトロノームみたいに

刻んでいた互いのテンポは同じでいたのに

いつしか少しずつ ズレ始めていた

時間が経つほど離れていくのを 止められなくて

ここで2人を”メトロノーム”に例えた表現が登場します。

2台のメトロノームがあったとして、2台とも同じテンポを刻んでいれば永遠にずれることはありません。

しかし、人間は機械ではありませんし、一度お互いのテンポ(気持ち)がずれてしまえばそのずれは時間と共にどんどん大きくなっていってしまいます。

早めに修正できていればよかったのかもしれませんが、僕はそれに気づくことができなかったんでしょう。

あなたからそれを伝えられたときにはもう手遅れだったのかもしれません。

男女のそういうすれ違いってよくあるもので、そういう歌もよくあるんですが、それをメトロノームに例えたことでそんな曲の中でも特に存在感を増しています。

 

2コーラス目 サビ

これから僕たちはどこへ行くのかな

全て忘れて生きていけるのかな

あなたが今どんなに幸せでも 忘れないで欲しいんだ

僕の中にはいつも

1コーラス目のサビと同様に、喪失感が綴られています。

先ほどはどこか諦めきれない様子がありましたが、ここで綴られている気持ちは少しは前を向いているようにも思えます。

とは言え、”あなたが今幸せでも忘れないで欲しい”、”僕の中にはいつも”という言葉にしばらく引きずってしまいそうな僕の心情が現れています。

また、いかにもフラれた男性っぽい女々しい姿もイメージさせますね。

 

Cメロ

すれ違って背中合わせに歩いていく

次第に見えなくなっていく

これからも同じテンポで生き続けたら

地球の裏側でいつかまた出会えるかな

お互い違う道を歩いていくという現実を少し受け止められた様子が感じられます。

直後は「まだやり直せるかもしれない」という気持ちが残っていたかもしれませんが、”次第に見えなくなっていく”という言葉からそれも諦め始めたように思えます。

ですが、”地球の裏側でいつかまた出会えるかな”とありえそうもない奇跡に期待してしまっているようです。

この表現がまた面白いなと思ったんですが、実際のメトロノームだとテンポがズレていてもどこかでまた合う瞬間があったりします。

とは言え、結局テンポは違うのでその次の拍からは再びズレていってしまうんですが、そこで同じテンポに合わせることができればその後はズレることはありません。

“地球の裏側でいつかまた出会えるかな”という言葉でメトロノームと人間に起こりえるそんな状況をイメージさせます。

 

3コーラス目 サビ

今日がどんな日でも何をしていようとも

僕はあなたを愛してしまうだろう

伝えたい思いが 募っていくまま

一つも減らない僕を 笑い飛ばしてほしいんだ

あなたがいてほしいんだ

1コーラス目と同じサビに”あなたがいてほしいんだ”というフレーズが加えられています。

米津さんの歌詞では、ラストで1コーラス目の歌詞を繰り返すというパターンが多く見られます。

曲を端的に表すような歌詞ということだと思いますが、そう考えると結局僕の気持ちは変わらないままということです。

しかも最後が”あなたがいてほしいんだ”なので、全然諦められていないようです。

でも実際にも別れた相手への想いってそんなに簡単に断ち切れるものではなく、かなりの時間を要するものですよね。

まとめ

曲を通して僕のあなたへの強い想いが感じられる歌詞になっています。

私もそうなのでこういう気持ちは痛いほどわかるんですが、男性って女性以上に女々しく引きずってしまうものなんですよね。

その心情がうまく表現されていますが、優しい言葉で綺麗に見せているので、痛々しいというよりはどこか心が暖かくなるような響きがあります。

米津玄師さんのおすすめ曲を「米津玄師のおすすめ曲ランキングベスト10」にまとめているので、米津ファンの方はそちらも合わせてご覧ください。